「腰が痛い」は本当に腰の問題か?【慢性痛から読み解く脳の役割】


2025/11/1

「腰が痛い」は本当に腰の問題か?【慢性痛から読み解く脳の役割】

このような経験はありませんか?

・「検査をしても異常がないのに痛みが続く」

・「少し動いただけで、激しい痛みが走る」

・「あちこち移動する痛みに悩まされている」

従来の医学モデルでは説明の難しいこれらの痛みは、「脳の誤作動」 として理解することで、そのメカニズムが見えてきます。

慢性痛は「脳の過剰防衛」

 
急性の痛みは、身体の損傷を知らせるための「必要な警報」です。

しかし、痛みが慢性化すると、この警報システムにエラーが生じます。

たとえ元のケガや炎症が治っても、脳と脊髄の神経回路は「痛みを出す」状態を学習し、危険がないのに、あるいは小さな危険信号を大きく増幅して、過剰な警報(痛み)を鳴らし続けてしまうのです。

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この状態を 「中枢性感作」 と呼びます。

脳が「この部位は脆弱だ」と誤って学習し、過剰に防衛的になっている状態です。

これは、消火活動が終わった後も、火災報知器が敏感になりすぎて、湯気やほこりにまで反応して鳴り響くようなものだと例えられます。


「痛みの記憶」と「恐怖」が痛みを強化する

 
脳は、過去の痛みの経験を強く記憶します。

そして、「またあの痛みが起こるのではないか」という恐怖や不安が、現在感じている痛みを強力に増幅させます。


· 回避行動:「痛みを恐れて動かなくなる」→ 身体機能の低下、さらに「動かないこと」が脳に「この動作は危険だ」と学習させる。

· ネガティブな思考:「この痛みは一生治らない」「何か重い病気に違いない」→ ストレスホルモンが分泌され、神経系をさらに敏感にさせる。

この悪循環によって、「組織の損傷」という生物学的な問題が、「動けない」という行動上の問題、「怖い、つらい」という心理的な問題に発展していきます。

痛みはもはや、単なる「腰」や「膝」の局所的な問題ではなく、脳を含む「中枢神経系全体の問題」として広がっているのです。


治療の焦点は「組織の修復」から「脳の再教育」へ

 
この考え方に基づけば、治療の目標は「痛みを完全にゼロにすること」ではなく、「脳の誤った警報システムを正常化し、痛みと適切に付き合えるようにすること」 に移行します。

具体的なアプローチとしては以下のようなものがあります。

1. 疼痛教育(Pain Neuroscience Education)

「なぜ痛みが持続するのか」というメカニズムを学ぶだけで、痛みに対する恐怖が軽減され、痛みそのものが和らぐことが多くの研究で示されています。痛みの正体を知ることは、それだけで治療の第一歩となります。

2. 段階的運動暴露療法(Graded Exposure Therapy)

痛みを恐れて避けていた動作を、「絶対に痛くない」レベルから少しずつ、段階的に再開していきます。成功体験を積み重ねることで、脳に「この動作は安全だ」と再学習させ、誤った痛みの信号を消していきます。

3. マインドフルネスと認知行動療法(CBT)

痛みそのものから注意をそらし、「今、この瞬間」の体験に意識を向けるトレーニングです。また、「痛み=破滅」というネガティブな思考パターンを、より現実的で建設的な考え方に変えていくことで、痛みの悪循環を断ち切ります。

まとめ:痛みと向き合う新たな視点

 

「痛みは脳が作る」という事実は、「痛みが気のせいだ」という意味では決してありません。

それは、痛みが「100%身体の損傷によって決まる」という単純なものではなく、私たちの思考、感情、記憶、信念といった複雑な脳の働きが深く関与する「個人的な体験」であることを意味します。


このパラダイムシフトは、長年原因不明の痛みに苦しんできた方々に、新たな希望をもたらします。

身体の一部だけを治療するのではなく、「脳という全身のコントロールセンター」にアプローチすることで、慢性痛という複雑な問題に、より根本から光を当てることができるのです。


  
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