脱力感と手足の震え


2019/6/13

脱力感と手足の震え

今回はつい最近、ご来院された患者様の症例をご報告します。

症状は、全身の脱力感と手足の震えです。



原因も分からず、ある朝、突然力が入りづらくなり、ベッドから起き上がる事が出来なくなったとの事です。(その1ヶ月前から下肢には、何となく力が入りにくい感覚はあった)

うつの症状の方でも、出社拒否などの理由で、しばし起こる症状ですが、その方の場合、日常生活でストレスを感じてない訳ではありませんが、うつの症状までは行ってなさそうでした。

人が身体(筋肉)を意図的に動かそうとする時(随意的な筋収縮と呼ばれます)、脳から発生した信号は、以下の経路をたどります。

脳 → 脳幹と脊髄 → 脊髄神経、末梢神経 → 神経と筋肉の接続部(神経筋接合部)


脱力感(力が入らない)の症状は、上記のいずれかの部分や経路で何らかの障害が起こり、筋肉に十分な出力が伝わらない状態と言えます。

今回の患者様のケースでは、両側の手足が同時に障害されていたことから、脳幹部(視床)に何らかの障害が起こっている事が推測されました。

当院の施術の中核を担っている遠絡療法では、このような症状の場合、根本的な原因はAtlas(アトラス=頚椎1番)にあると考えています。


≪第一頸椎(アトラス)の炎症で起こる主な症状≫

●疲労感
体が疲れやすい、朝起きるのが辛い

頭痛、顔面痛
緊張型頭痛、偏頭痛、群発型頭痛、顔面神経痛、三叉神経痛、顎関節症

●体温の異常
慢性的な微熱、低体温など

●睡眠異常
不眠症、日中の眠気

●耳・喉・口の症状
耳鳴り、めまい、耳の詰まり感、喉の異物感、ドライマウス、嗄声(声のかすれ、反回神経麻痺)

●胸部の異常
動悸、息切れ、胸の痛み、胸やけ、圧迫感、うまく息を吸い込めないなど

吐き気・胃腸の異常
消化不良、吐き気、腹部膨満、便秘、下痢、腹にガスが溜まる

●排尿の症状
頻尿、残尿感、排尿困難

●原因不明の肛門痛、陰部痛

●手足の異常
手足のしびれ、脱力感、手足の冷え、足がつる(こむら返り)、手足のほてり

筋肉の凝り・関節の痛み
首や肩の凝り、関節の痛みなど(主に両側性)

●皮膚の異常
皮膚や粘膜のかゆみ


第一頚椎の炎症などの病変で、この部分のライフフロー(生体の流れ)の詰まりが起こることで、頭部の還流が阻害され大脳、間脳(視床、視床下部、脳下垂体)、脳幹部(12脳神経)へと影響していきます。

視床が障害されると、脊髄の機能を支配していますので、四肢にも症状がでます。
また、Atlasは脊髄と脳幹の境目にあたりますから、ここの病変は、隣接する脳幹(延髄、橋、中脳)への波及し、その機能の発揮を抑制します。



視床下部は「生命維持の中枢であり、自律神経系の中枢」です。内臓の働きや、血圧や体温などを無意識下で調節し、ホメオスタシス(恒常性)を維持しています。ホメオスタシスは、自律神経系とホルモン系の連動によって保たれており、視床下部は下垂体との連携で、内分泌系(各種ホルモンの分泌)もコントロールしています。


また、脳幹部(12脳神経)が障害されると、以下のような症状が起こります。

Ⅰ嗅神経

嗅覚異常

Ⅱ視神経

視力

Ⅲ動眼神経、Ⅳ滑車神経

複視、眼球運動

Ⅴ三叉神経

顔の触れない痛み、奥歯の激痛、頬、下顎の激痛

Ⅵ外転神経

眼球外転

Ⅶ顔面神経

顔面の歪みと突っ張り感、顔面麻痺、dry eye、dry mouse、甘みの異常(舌前2/3)、眼輪筋麻痺

Ⅷ内耳神経

耳鳴り、めまい

Ⅸ舌咽神経

塩辛味覚異常(舌後1/3)

Ⅹ迷走神経

内臓症状、便秘、吐気、胃痛、腹部膨満、血圧、食欲

XI副神経

肩コリ、頸部後屈困難

XII舌下神経

舌の偏位


第一頸椎(アトラス)
は、ちょうど上位中枢(脳)と下位中枢(脊髄)の境目に位置します。この部分で問題が生じると、上位中枢にも下位中枢にも影響が出ますから、遠絡医学では大変重要視している部分です。

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施術したその場では、大きな症状の変化は確認できませんでしたが、翌朝、普通に起き上がる事が出来たとの報告を後日頂きました。


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